洗剤の「除菌」表示が指している範囲と、脚注の読み方
台所用・住宅用洗剤の「除菌」表示には、公正競争規約で決められた統一基準があります。判定に使う菌の種類、どれだけ減らせば合格か、そして脚注が何を打ち消しているかを整理します。
解説
洗剤売り場で「除菌」と書かれた製品を手に取ったとき、その言葉がどこまでを保証しているのかは、パッケージの表側だけでは分からない。**ここには業界の統一基準があり、同時に「何を言っていないか」を定めた注記のルールもある。** 読み方を先に知っておくと、選び直しの回数が減る。
## 「除菌」には統一基準がある
Amazonで「洗剤・柔軟剤の除菌/抗菌表示」の価格を見る洗剤・石けん公正取引協議会が定義する除菌は「物理的、化学的または生物学的作用などにより、対象物から増殖可能な細菌の数(生菌数)を有効数減少させること」である。**この細菌にカビや酵母などの真菌類は含まれない。**
台所用洗剤と住宅用洗剤の除菌表示については、公正競争規約の追加・改定案が2006年(平成18年)9月1日付で公正取引委員会に認定されている。表示を行うには、協議会が定める試験方法で、**協議会が公認した外部試験機関**において試験を行い、基準を満たす必要がある。基準は、黄色ブドウ球菌と大腸菌の2菌種それぞれについて、除菌効果のない対照試料に対して**生菌数を1/100以下に減少させる能力**(除菌活性値が2以上)である。
## 脚注は「何を言っていないか」を書いている
規約は、薬事法(現在の薬機法)に規定されている「殺菌」効果とは明確に区別するとしたうえで、**「すべての菌を除菌するわけではない」旨を表示する必要がある**としている。売り場でよく見るあの一文は、メーカーが弱気なのではなく、規約が求めている定型の注記である。
さらに、除菌が特定の対象物・用途についてのみ実証されている場合と、除菌するために何らかの使用条件を満たす必要がある場合は、一般消費者が誤認しないように**対象物・用途・使用条件を明記する**ことになっている。台所用洗剤のスポンジ除菌のように通常と著しく異なる使用方法を取る場合は、除菌マークに対象物・用途を併記する必要がある。
**つまり、注記が長い製品ほど条件が限定されているとも読める。** 注記が短いから優秀、という読み方は成り立たない。
## 実際の表示で確かめる
花王「ニュービーズ ローズ&マグノリアの香り」の商品ページには、特長の並びに「24時間抗菌*2」があり、ページ下部の*2が「すべての菌の増殖を抑えるわけではありません」である。同じ並びの「天然アロマ増量*1」は、*1が「香料中、従来品比」となっている。**「増量」が何に対する増量なのかは、ここを読まないと分からない。** 香料全体が増えたのではなく、香料の中での天然アロマの比率の話であり、比較対象は従来品である。
この2つの米印は、どちらも「表側の短い言葉」を後ろから限定している。**表示を比べるときに実際に差が出るのは、こちら側である。**
## 気をつけたいところ
ひとつ目は、**カビ対策を「除菌」表示だけで選ばない**ことである。上のとおり、除菌の定義に真菌類は含まれていない。浴室の黒ずみやぬめりを目的にしているなら、カビを対象に書いている製品かどうかを別に確かめる必要がある。
ふたつ目は、**洗濯用洗剤の「抗菌」「防臭」を、台所用・住宅用の除菌基準と同じものとして読まない**ことである。上の規約が追加されたのは台所用・住宅用の除菌表示についてで、告知の時点では洗濯用洗剤は検討中とされていた。洗濯用の表示は、製品ごとの注記で何をどこまで言っているかを個別に読む。
## まず何をするか
**買う前に、除菌・抗菌の文字ではなく、その横の米印を先に読む。** 対象物・用途・使用条件・比較対象のどれが限定されているかが、そこに書かれている。表示が同じ「除菌」でも、そこまで読むと選ぶ理由が変わることがある。
使い方・探し方の手順
- 除菌・抗菌の文字より先に、その横に付いている米印(*1・*2など)の説明文を読む。打ち消し表記はここに書かれている
- 「すべての菌を除菌するわけではない」旨の表示は、規約が求めている定型の注記である。これがあること自体は不備ではない
- 対象物・用途・使用条件が併記されていたら、その条件の外では実証されていないと読む。台所用洗剤のスポンジ除菌のように、通常と違う使い方が前提のものがある
- 「除菌」と「殺菌」を同じ意味で読まない。規約は両者を明確に区別するとしている
- カビ・酵母が気になっている場合、除菌の定義には真菌類が含まれていない。カビ対策を目的に「除菌」表示だけで選ばない
- 洗濯用洗剤の「抗菌」「防臭」は、台所用・住宅用の除菌基準とは別の枠である。パッケージの注記で何をどこまで言っているかを個別に読む
- 「増量」「アップ」などの比較表現も、米印で比較対象が限定されていることが多い。従来品比なのか他社比なのかを確かめる
対象商品と価格
| 対象商品 |
|---|
| 「除菌」の定義洗剤・石けん公正取引協議会の定義は「物理的、化学的または生物学的作用などにより、対象物から増殖可能な細菌の数(生菌数)を有効数減少させること」。同協議会は、この細菌に**カビや酵母などの真菌類は含まれない**と明記している |
| 合格の基準判定に使う菌種は黄色ブドウ球菌と大腸菌の2種類。それぞれについて、除菌効果のない対照試料に対して生菌数を1/100以下に減らせること(除菌活性値が2以上)が条件である |
| 誰が試験するか洗剤・石けん公正取引協議会が定める試験方法で、同協議会が公認した外部試験機関が試験する。社内試験だけでこの表示はできない |
| 対象が限定されるとき除菌が特定の対象物・用途についてだけ実証されている場合や、除菌するために何らかの使用条件が要る場合は、誤認を防ぐため対象物・用途・使用条件を明記することになっている。台所用洗剤のスポンジ除菌のように通常と著しく異なる使い方をする場合は、除菌マークに対象物・用途を併記する必要がある |
| 「殺菌」とは別の言葉規約は、薬機法(当時の表記は薬事法)に規定されている「殺菌」効果とは明確に区別するとしている。あわせて「すべての菌を除菌するわけではない」旨の表示も求めている。パッケージでよく見る打ち消し表記は、この規約に由来する |
| 洗濯用洗剤の扱いこの規約が追加・改定されたのは台所用洗剤と住宅用洗剤の除菌表示についてで、2006年(平成18年)9月1日付で公正取引委員会が認定した。当時の告知では洗濯用洗剤については検討中とされていた。洗濯用の「抗菌」「防臭」表示は、この除菌の基準とは別の話として読む必要がある |
| 実際の脚注の例花王「ニュービーズ ローズ&マグノリアの香り」の商品ページには「24時間抗菌*2」と書かれ、その*2が「すべての菌の増殖を抑えるわけではありません」である。同じページの「天然アロマ増量*1」の*1は「香料中、従来品比」で、何と比べた増量なのかがここで限定されている |
確認日時点で出典・商品ページに表示されていた金額です。空欄は確認できなかったもので、推定値は入れていません。価格・対象・期限は変動するため、購入前にAmazonの商品ページでご確認ください。
Amazonで「洗剤・柔軟剤の除菌/抗菌表示」の在庫と価格を確認するこんな人に「除菌」と書いてある洗剤を選んだのに効いている実感がない、という人に向きます。表示の範囲が最初から限定されている場合があるためです。逆に、対象が何であれ強い除菌を求めているなら、洗剤ではなく用途に合った製品カテゴリを探すほうが早いです。
ここがポイント
- 台所用・住宅用洗剤の「除菌」表示には公正競争規約の統一基準がある(2006年9月1日付で公正取引委員会が認定)
- 判定菌種は黄色ブドウ球菌と大腸菌の2種類、基準は生菌数を対照試料の1/100以下(除菌活性値2以上)
- 試験は協議会が公認した外部試験機関で行う必要がある
- 定義に真菌類(カビ・酵母)は含まれない
- 「すべての菌を除菌するわけではない」旨の表示と、薬機法の「殺菌」との区別も規約が求めている
- 実例: 花王ニュービーズの「24時間抗菌*2」の*2は「すべての菌の増殖を抑えるわけではありません」
この製品の使用量を自分の洗濯機の水量に合わせるなら 洗濯洗剤の適量計算(ボトルの表記を入れるだけ・本体と詰め替えの1回あたり比較つき)が使えます。
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参考: jsda.org / www.kao-kirei.com(9月15日確認)